[ガラス管ヒューズ]

ガラス管ヒューズ

ヒューズと聞いて多くの人がまっ先にイメージするのはガラス管に金属エレメントが納まった「ガラス管ヒューズ」でしょう。1910年代には早くも登場しており、エンジン点火時の過電流による事故などを防いでいました。そのヒューズが一躍注目を集めるようになったのは1970年代。自動車の排気ガスによる大気汚染問題を背景に、自動車メーカー各社は排ガス規制に対応しながらエンジン出力と燃費の維持を実現するため、マイコンでエンジン制御を行うECU(エンジンコントロールユニット)を開発。車のエレクトロニクス化が一気に進む契機となりました。それに伴い、電気回路の安全確保と機器保護の役割を担うヒューズの需要が高まったのです。

[ブレードヒューズ]

ブレードヒューズ

1975年に開発されたブレードヒューズ(オートヒューズ)は今でも自動車用ヒューズのスタンダードとして使われています。ガラス管ヒューズに比べて部品点数が半分で済み、構造が単純なため大量生産に向き、小さく、軽く、耐久にも優れており、自動車のエレクトロニクス化の波に乗り、瞬く間にあらゆる自動車メーカーに採用されていきました。

[スローブローヒューズ]

スローブローヒューズ

1980年代、パワーウィンドウ、オートワイパー、エアコンなど快適性を追求する電装部品が多数登場。自動車には数多くのモーターが搭載されるようになりました。しかし、モーターは電源投入時、一時的に定格よりも大きな電流が流れやすく、過電流時にすぐ溶断する従来のオートヒューズでは対応できませんでした。そこで採用されるようになったのが、高い電流が流れてもゆっくりと温度が上昇し、すぐには切れないスローブローヒューズです。1982年、太平洋精工(PEC)が世界に先駆けて開発しました。2000年代に入ってからは自動車の電子制御も複雑化し、回路自体の小型化も求められるように。複数の回路を一つにしたマルチスローブローヒューズはその声に応える製品です。

[EVヒューズ]

EVヒューズ

1990年代後半、環境に配慮した車のあり方を自動車メーカー各社が模索する中で、最初の答えとなったハイブリットカー。その電気系統にはガソリン自動車に比べはるかに高い電圧がかかり、従来のヒューズではエレメントがすぐに溶け出してしまう上に、電圧の高さから溶断してもアーク放電現象が発生し、回路を破壊してしまう問題がありました。PECがトヨタ自動車と共同開発したEVヒューズは、これらの問題をクリアした世界初の製品で、各社のハイブリットカーに搭載されるようになりました。2000年代に入ってからは、さらなる環境性能を求めて開発された電気自動車にも採用されています。

自動車用ヒューズ