自動車用ヒューズは、振動・雰囲気温度等から受ける影響や精度・信頼性の点で他分野での用途とは異なり、より厳しい状況に耐える性能が要求されます。サイズ・重量も重要な要素です。

自動車用ヒューズ特有の要求事項

① 振動
自動車は、高速道路の連続運転時や、悪路・石畳路の走行時、また停車時のアイドル運転時など、様々な条件の振動を受けます。ヒューズは四輪車の場合では44.1m/s2、二輪車の場合では196m/s2の振動に耐え、周波数変化に対して共振がある場合でも、機能を保証する必要があります。
② 雰囲気温度
自動車は、灼熱の砂漠でも、極寒の地でも問題なく走行できる必要があります。しかも、ヒューズは客室内にもエンジンルームにも設置されるため、−40〜120℃という幅広い雰囲気温度帯において確実に機能を果たさなければなりません。
③ 精度
自動車の重量は、燃費の良し悪しに大きく影響するため、電線をも軽量化のために極力細いものが使用されています。そのため、電線の通電電流値と許容電流値は接近しており、ヒューズの溶断特性はその狭い範囲で管理されなければなりません。
④ 信頼性
走行中、ヒューズに異常が発生すると、すぐに走行不能となり、高速道路などを走行中だった場合は、重大な事故を引き起こす可能性があります。自動車の平均使用年数が10年を超える今日では、様々な環境変化に対してヒューズは機能を保持し続ける耐久性が要求されます。
⑤ サイズ・重量
京都議定書で定められたCO2排出量規制の観点で自動車を見ると、走行時に発生するCO2の量は、部品・材料・車両の生産時や廃車時に発生するCO2の量よりも格段に多いことが知られています。したがって、自動車業界では車両の軽量化は重要な要件であり、ヒューズにおいても小型・軽量化と性能保証の両立が要求されます。

自動車用ヒューズ